軽貨物運送業者「赤帽」とは?サービス内容やメリットについて解説
この記事では赤帽について、サービス内容やメリットなども含めて解説しています。赤帽は軽貨物運送業を営む個人事業主で組織されている協同組合です。
「赤帽」と聞くと、きっと誰しもが、赤と白を基調にデザインされた小さなトラックを思い浮かべるのではないでしょうか?しかし、赤帽の正体を詳しく知っている人はそれほどいません。赤帽を会社だと思っている人も多いようです。この記事では、赤帽について詳しく解説しています。赤帽には、大手の宅配便にはない特徴があるので、用途に合わせて使い分けることで、ユーザーは節約することが可能です。
赤帽は軽貨物運送業を営む個人事業者の集まり
まず、赤帽がどんな組織なのかご説明しましょう。勘違いしている人が多いようですが、赤帽は会社ではありません。赤帽は、「中小企業等協同組合法」という法律に定められる「事業協同組合」に該当します。つまり、ちまたで見かける赤帽のトラックを運転しているドライバーは軽貨物運送業を営む「個人事業主」であり、赤帽という団体は個人事業主の集まる協同組合なのです。協同組合というと「農協」や「漁協」を思い浮かべる人が多いと思いますが、農協も漁協も組織の仕組み自体は赤帽と変わりません。農協は農業を営む個人事業主の集まりであり、漁協は漁業を営む個人事業主の集まりです。
赤帽は、正式名称を「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」といいます。この団体が全国にある支部を束ねており、たとえば、神奈川県の赤帽の場合は「赤帽首都圏組合」に属すことになります。赤帽の軽貨物車両は、全国に約18,000台走行しています。
時に「荷物のタクシー」と呼ばれ重宝されている赤帽が誕生したのは1975年のことです。誕生当時は「赤帽軽自動車運送組合」という任意組合でしたが、翌年には陸運局から協同組合として認可されます。
赤帽として開業する場合、開業資金として200万円程度かかりますが、この中には軽トラックの費用も含まれています。かつての赤帽用の軽トラックには、SUBARUが赤帽用に専用開発した「サンバー」が使われていました。当時のサンバーには、エンジンを車体後方に配置して後輪をパワフルに駆動する、とても特徴的なRRの駆動方式が採用されており、重い荷物を運ぶ赤帽の仕事を支えていました。
その昔のサンバーは耐久性の良さとパワフルな走りにより農家にもよく採用されており、「農道のポルシェ(RRはポルシェお得意の駆動方式)」とも呼ばれ、今もマニアが存在するほどです。その話はさておき、赤帽に属する各事業者は、軽トラックを使ってさまざまな業務を請け負っています。次の章では赤帽の取り扱い業務についてご説明しましょう。
赤帽の取り扱い業務
赤帽はさまざまな業務を請け負っています。なかでも主なものは「引っ越し」「チャーター」「ルート配送」、そして「宅配便の下請け」です。
赤帽は個人事業主の集まりですから、それぞれの個人事業主が自ら定めた方針で営業しています。もちろん、赤帽なりの規則も定められているので当然、こちらにも沿った形で業務を請け負っています。しかし、個々の事業主により対応が異なることもあるようで、赤帽を複数回利用した人の中には、仕事の品質にばらつきがあると感じる人もいるようです。
赤帽では「引っ越し運賃料金」を設定しており、引っ越しだけではなく、引っ越しのようなハードワークが必要とされる仕事に対しては、この引っ越し料金が適用される場合があります。そのほかに、チャーター便などで採用される「距離制運賃料金」と「時間制運賃料金」があります。通常は距離制運賃料金、渋滞や作業時間が長くなることが見込まれる場合に時間制運賃料金が適用されます。
赤帽に仕事を依頼する方法
赤帽に仕事を依頼する場合、窓口は「組合員」、もしくは「配車センター」と呼ばれる組合事務所になります。もしも、赤帽に仕事を依頼するのが初めての場合は、組合事務所の利用をおすすめします。お住まいの地域を統括している赤帽の組合事務所に電話をすると見積りを出してくれます。同時に組合側が日程の開いている組合員を手配してくれます。
過去に赤帽のサービスを利用したことがあり、良かったので「もう一度利用したい」という場合は、その組合員に直接コンタクトをとって仕事を依頼しましょう。赤帽は、繰り返しますがそれぞれの組合員が個人事業主ですので、赤帽を通じて予約しなくても問題ありません。急な予約にもフレキシブルに対応してくれますが、引っ越し、特に繁忙期の引っ越しの場合は、できるだけ早く予約を入れたほうがいいでしょう。
赤帽を利用すると得られるメリット
赤帽には、赤帽の強みがあります。だからこそ、赤帽は選ばれているのです。赤帽を利用すると得られるメリットにはどんなものがあるのでしょうか?
引っ越し料金が安上がり
赤帽では、すでにご紹介したとおり、引っ越し運賃料金を設定しています。ひとり暮らしの人で荷物の量が少なく、しかも2時間程度で作業が終了する近場への引っ越しなら15,000円程度で済ませられます。赤帽の引っ越しはドライバーがひとりで対応するため、人件費があまりかかりません。
一般的な引っ越し社の2トントラックでは、単身者の引っ越しではスカスカになってしまいます。料金も割高になってしまうため、赤帽が選ばれるのです。
ちなみに赤帽を引っ越し社と考えている人も少なからずいるようですが、すでにおわかりのとおり、赤帽は引っ越し専業の会社ではありません。
ちょっとした作業ならドライバーに依頼できる
引っ越しの際は、たとえばエアコンの取り外しや取り付け作業など、一般の人では難しい作業もあります。このような作業が必要な場合は、組合事務所に依頼する際に、作業が可能なドライバーを手配してもらえるかどうか確かめてみましょう。
大手宅配便が運ばない荷物も運んでくれる
大手の宅配便では、一定の大きさや重さを超える荷物を運んでくれません。一般的に、大きさは3辺合計が160~200cm以下、重さは25kg以下です。このサイズではちょっとした家具や家電製品などは送れません。
しかし、赤帽なら荷台に積めるサイズの荷物なら運んでくれます。車種により若干の違いはありますが、高さ180cm、幅140cm、長さ200cm以下であれば荷台に載せられます。
赤帽を利用する際に覚えておきたいこと
赤帽を利用する際に覚えておきたいことがあるので、ここでご紹介しておきます。
引っ越しの場合はドライバーを手伝う必要あり
赤帽の引っ越しは軽トラック1台とドライバーだけで行うので、ひとりで運ぶことの難しい重量物に関しては、依頼者様が手伝わなければならないケースも出てきます。また、引っ越し用のダンボールや緩衝材は自分で用意して、梱包も自力で行う必要があります。
積みきれない場合は別料金
荷物が積みきれなかった場合は別料金になります。1台の赤帽が往復、もしくはもう1台手配する羽目になってしまうので、運んでもらう荷物についてすべてしっかり伝えたうえで、組合事務所のスタッフに判断を仰ぎましょう。
まとめ
赤帽について、団体の正体や業務内容、利用することで得られるメリットを中心に解説してきました。赤帽は会社ではなく軽貨物運送業を営む個人事業者で構成されている協同組合です。赤帽は単身者の引っ越しや宅配便では送れない大きさの荷物の配送に適しています。そのほかにもさまざまな運送業務を請け負っている赤帽。機会があれば、ぜひ利用してみてください。